「天文」カテゴリーアーカイブ

積分その1

積分その1

【1】\(\,\,\displaystyle\int_0^{\infty}xe^{-ax}dx\quad\)の計算

\(\quad\displaystyle\int_0^{\infty}xe^{-ax}dx\quad\cdots\,\)(1)

まず、\(\,\displaystyle\int xe^{-ax}dx\,\,\)の不定積分から計算する。

部分積分で考えると

\(\quad\displaystyle\int xe^{-ax}dx=x(-ae^{-ax})+\dfrac{1}{a}\displaystyle\int e^{-ax}dx\)
\(\qquad=-axe^{-ax}+\dfrac{1}{a}\displaystyle\int e^{-ax}dx\quad\cdots\,\)(2)

(1)式の定積分を考える時、まず次の極限を計算する。

\(\quad\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{x}{e^x}\quad\cdots\,\)(3)

\(\quad x\ge 0\,\,\)のとき\(\,\,e^x\ge\dfrac{x^2}{2}\,\,\)を考える。

\(\quad f(x)=e^x-\dfrac{x^2}{2}\quad\cdots\,\)(4)

とすると、\(x\ge 0\quad\)のとき、\(f'(x)\gt 0\,\,,\quad f^{\prime\prime}\gt 0\quad\)なので、\(f(x)\gt 0\quad\)である。よって

\(\,\,e^x\ge\dfrac{x^2}{2}\,\,\)が成り立つ。そこで

\(\quad 0\ge \dfrac{x}{e^x}\ge \dfrac{x}{\frac{x^2}{2}}\quad\)つまり\(\quad 0\ge \dfrac{x}{e^x}\ge \dfrac{2}{x}\quad\)となり、

\(\quad\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{2}{x}=0\quad\)なので\(\quad\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{x}{e^x}=0\quad\cdots\,\)(5)

となる。

この結果 (2)式を\(\,0\,\)から\(\,\infty\,\)まで積分すると

\(\quad\displaystyle\int_0^{\infty}xe^{-ax}dx=\left[-axe^{-ax}\right]_0^{\infty}+\dfrac{1}{a}\displaystyle\int_0^{\infty}e^{-ax}dx\)

\(\qquad =0-0+\dfrac{1}{a}\left[-\dfrac{1}{a}e^{-ax}\right]_0^{\infty}=\dfrac{1}{a^2}\quad\cdots\,\)(6)

グラフは\(\,y=xe^{-x}\,\)である。\(x\,\to\,\infty\,\)まで積分すると斜線部分の面積は\(\,1\,\)となります。







ビリアル定理

1-1. クラウジウスのビリアル定理

ビリアル定理は 19世紀に Clausius によって考案された。
「系の平均活力は、その(平均)ビリアル(の大きさ)に等しい。」
ここで登場する「活力」(”vis viva”)は、今日の運動エネルギーに相当します。 そもそも「活力」は古典力学の草創期にライプニッツが導入した量で、今日の運動エネルギーの2倍に相当する量 \(\,mv^2\,\)ですが、クラウジウスは \(\,mv^2/2\,\)とちょうど運動エネルギーと同じ量として用いています。ビリアル virial はラテン語のvis(「力」)からクラウジウスが作った造語です。ここでは、(力)×(位置ベクトル)をビリアルと呼ぶことにします。

距離の逆2乗則に従う重力クーロン力の中心力で相互作用しあっている多体系では、長時間平均した運動エネルギー\(\,\langle\,T\,\rangle\,\)と平均の全ポテンシャルエネルギー\(\,\langle\,V\,\rangle\,\)は次の関係式を満たす。

\(\quad 2\langle\,T\,\rangle+\langle\,V\,\rangle=0\quad\cdots\,\)(1)

1-2. ビリアル定理の古典力学的証明

ここで位置ベクトル\(\,\vec{r}\,\)と運動量\(\,\vec{p}\,\)の内積の総和を以下のように考える。

\(\quad G=\displaystyle\sum_i\vec{p}_i\,\cdot\,\vec{r}_i\quad\cdot\,\)(2)

(2)式を時間\(\,t\,\)で微分する。

\(\quad\dfrac{dG}{dt}=\displaystyle\sum_i\vec{p}_i\cdot\dfrac{d\vec{r}_i}{dt}+\displaystyle\sum_i\dfrac{d\vec{p}_i}{dt}\cdot\vec{r}_i\)
\(\qquad\quad=\displaystyle\sum_i\,m_i(\vec{v}_i)^2+\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i\)
\(\qquad\quad=\displaystyle\sum_i2\times\dfrac{1}{2}m_i(\vec{v}_i)^2+\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i\)
\(\qquad\quad=2T+\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i\quad\cdots\,\)(3)

ここでは、次の関係式を使用している。

\(\quad \vec{p}_i=m_i\vec{v}_i\,,\qquad\vec{v}_i=\dfrac{d\vec{r}_i}{dt}\,,\qquad\vec{F}_i=\dfrac{d\vec{p}_i}{dt}\quad\cdots\,\)(4)

(3)式の両辺を\(\,0\,\)から時間\(\,t\,\)の範囲で積分して\(\,t\,\)で割り、\(t\to\infty\,\)の極限をとって長時間平均する。すると粒子が動き得る範囲は有限なので\(\,G\,\)も有限だから、左辺は\(\,0\,\)に収束する。

\(\quad\displaystyle\lim_{t\to\infty}\dfrac{1}{t}\displaystyle\int_0^t\dfrac{dG}{dt}=\displaystyle\lim_{t\to\infty}\dfrac{G(t)-G(0)}{t}=0\quad\cdots\,\)(5)

したがって、

\(\quad 0=2\langle\,T\,\rangle+\left\langle\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i\right\rangle\quad\cdots\,\)(6)

つまり、ビリアル定理を得る。

\(\quad\langle\,T\,\rangle=-\dfrac{1}{2}\left\langle\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i\right\rangle\quad\cdots\,\)(7)

次にポテンシャルエネルギー\(\,V\,\)が中心力ポテンシャルで、粒子間の距離に反比例する形で、系のポテンシャル\(\,V\,\)が各粒子対の相互作用の和によって書き表される場合、以下のように表される。

\(\quad V(r_1,\cdots,r_N)=\displaystyle\sum_{i\lt j}\dfrac{a_{ij}}{|\vec{r}_i-\vec{r}_j|}\quad\cdots\,\,\)(8)

粒子\(\,i\,\)に作用する力の合計\(\,\vec{F}_i\,\)は、ポテンシャルを位置座標で微分することで以下のように表すことが出来る。

\(\quad\vec{F}_i=-\nabla_{r_i}V=\displaystyle\sum_{j\ne i}\dfrac{a_{ij}(\vec{r}_i-\vec{r}_j)}{|\vec{r}_i-\vec{r}_j|^3}=\displaystyle\sum_{j\ne i}\vec{F}_{ij}\quad\cdots\,\)(9)

ここで、\(\,\vec{F}_{ij}\,\)は、粒子\(\,j\,\)から粒子\(\,i\,\)に働く力である。

\(\quad\vec{F}_{ij}=a_{ij}\dfrac{\vec{r}_i-\vec{r}_j}{|\vec{r}_i-\vec{r}_j|^3}\quad\cdots\,\)(10)

この\(\,\vec{F}_{ij}\,\)を用いると、ビリアル(力と位置ベクトルの内積)は次のように表せる。

\(\quad\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i=\displaystyle\sum_{i,j(i\lt j)}\vec{F}_{ij}\cdot\vec{r}_i+\displaystyle\sum_{i,j(j\lt i)}\vec{F}_{ij}\cdot\vec{r}_i\)
\(\qquad\qquad\quad=\displaystyle\sum_{i,j(i\lt j)}\vec{F}_{ij}\cdot\vec{r}_i+\displaystyle\sum_{i,j(i\lt j)}\vec{F}_{ji}\cdot\vec{r}_j\qquad\because\,i\leftrightarrow j\)
\(\qquad\qquad\quad=\displaystyle\sum_{i,j(i\lt j)}\vec{F}_{ij}\cdot(\vec{r}_i-\vec{r}_j)\quad\because\,\vec{F}_{ji}\!=\!-\vec{F}_{ij}\,\,\cdots\,\)(11)

(10)式を(11)式に代入すると

\(\quad\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i=\!\displaystyle\sum_{i,j(i\lt j)}\dfrac{a_{ij}}{|\vec{r}_i-\vec{r}_j|}\)
\(\qquad\qquad\qquad=\displaystyle\sum_{i,j(i\lt j)}\!V_{ij}=\!\displaystyle\!\sum_{i,j(i\lt j)}\!V_{ji}\quad\cdots\,\)(12)

よって(6)式は以下のように表すことが出来る。

\(\quad 0=2\langle\,T\,\rangle+\left\langle\displaystyle\sum_i\vec{F}_i\cdot\vec{r}_i\right\rangle=2\langle\,T\,\rangle+\left\langle\displaystyle\sum_{i,j(i\lt j)}V_{ij}\right\rangle\)
\(\qquad\qquad=2\langle\,T\,\rangle+\langle\,V\,\rangle\quad\cdots\,\)(13)







ドメイン変更

tamami.tech というドメインを取得したけど、更新料が 3,400 円と高額なので、tamami8.net という 更新料 1,480 円のドメインに変更しました。
まあ変更と行っても、”*.tech” のドメインは 2021年の6月まで有効ですが、HTML のソースを順次書き換え中です。

最近、ロリポップではサーバーレンタルとドメイン取得をまとめてやると、更新料無料らしい。まあ、しょうがないと諦めています。

CO回転スペクトル

1. ミクロの世界の量子状態

1-1. 箱の中の粒子

一次元の粒子の波動方程式を考える。\(\,x\,\)軸上に、\(\,x=0\,\)から\(\,x=L\,\)までの長さが\(\,L\,\)の区間(\(\,0\ge\,x\ge\,L\,\))を考え、この区間の内部でだけ粒子が運動できるモノとする。このような状況の粒子を、1次元の箱の中の粒子と呼ぶ。
箱の外に出られないように、箱の外の位置エネルギーを\(\,\infty\,\)とする。また、箱の中では粒子に力が働かず自由に運動できるように、位置エネルギーを\(\,0\,\)とする。
解くべき方程式は、定常状態の波動方程式 \(\,\hat{H}\phi(x)=E\phi(x)\,\) であり、粒子の質量を\(\,m\,\)とするとハミルトニアン\(\,\hat{H}\,\)は以下のようになる。

\(\quad \hat{H}=-\dfrac{\hbar^2}{2m}\Delta+U(x)\quad\cdots\,\)(1.1)

変数は\(\,x\,\)のみの1次式なので、ラプラシアン\(\,\Delta\,\)は\(\,x\,\)の2次微分 \(\,d^2/dx^2\,\)に等しい。箱の外では位置エネルギーが無限大だから、\(\,\hat{H}\phi=E\phi\,\)が成り立つためには、\(\phi=0\,\)にならなければならない。
すなわち、箱の外の確率密度は\(\,0\,\)になり、粒子は箱の外には存在しない。次に箱の中では、位置エネルギーを\(\,U(x)=0\,\)としたので、波動方程式は次のような2次微分を含む方程式になる。

\(\quad -\dfrac{\hbar^2}{2m}\ \dfrac{d^2\phi}{dx^2}=E\phi\quad\cdots\,\)(1.2)

この式では\(\,\phi\,\)と\(\,x\,\)以外はすべて定数であり、次の形の基本的な微分方程式となっている

\(\quad \dfrac{d^2\phi}{dx^2}=-k^2\phi\quad\cdots\,\)(1.3)

ここで右辺の\(\,k\,\)は、求めるべきエネルギー\(\,E\,\)を含み、次式で与えられる定数である

\(\quad k=\left(\dfrac{2mE}{\hbar^2}\right)^{1/2}\quad\cdots\,\)(1.4)

式 (1.3)の一般解は指数関数または三角関数を含む次式の形に表される

\(\quad \phi(x)=ae^{ikx}+be^{-ikx}=A\sin kx+B\cos kx\quad\cdots\,\)(1.5)

波動関数の重要な性質として、連続性の条件があり、境界条件を考慮しなければならない。
箱の外では\(\,\phi=0\,\)であるから、箱の中(\(\,0\ge x\ge L\,)\)の\(\,\phi\,\)も箱の両端で値が\(\,0\,\)にならなくてはいけない。
そこで境界条件として \(\,\phi(0)=\phi(L)=0\,\) を使うと、\(\,x=0\,\)で\(\,\cos\,\)関数の部分は\(\,0\,\)にならないので、\(\sin\,\)の関数部分だけが残る。
また、\(\,x=L\,\)で\(\,\sin kx\,\)の値が\(\,0\,\)になるには \(\,kL=n\pi\,\)となり、その結果、波動関数とエネルギーがそれぞれ次のように決まる。

\(\quad\phi(x)=A\sin(n\pi x/L)\quad\cdots\,\)(1.6)

\(\quad E=\dfrac{(n\pi\hbar/L)^2}{2m}\quad\cdots\,\)(1.7)

ここで整数\(\,n\,\)は\(\,1,2,3\,\)などの自然数であり、これは量子数と呼ばれる。

(1.7) 式から、箱の中の粒子に許されるエネルギーは、図のように飛び飛びのエネルギー準位になる。

この結果は有限な空間に閉じ込められた粒子のエネルギーが飛び飛びになって量子化されることを示している。
ここで注目するべきことは、エネルギーが最低の基底状態、すなわち\(\,n=1\,\)の状態でも、エネルギーが\(\,0\,\)にならないことである。このエネルギーをゼロ点エネルギーという。

(1.7) 式で与えられる波動関数は図の中央に示したように、エネルギー準位を区別する量子数\(\,n\,\)が増えるにつれ上下の振動が激しくなる。波動関数の値が\(\,0\,\)になる位置を節(ふし)という。

節になる位置は、\(\phi\,\)でも\(\,\phi^2\,\)も同じであり、図の右に示した\(\,\phi^2\,\)の図から明らかなように、節の位置に粒子が観測される確率は\(\,0\,\)である。

1-2. 調和振動子

波動方程式の簡単な例として、左図のようなバネ(バネ定数を\(\,k\,\))につるされた質量\(\,m\,\)の錘(おもり)の振動を考える。位置エネルギーは、\(\,U(x)=\frac{1}{2}kx^2\,\) であり、釣り合った位置から\(\,x\,\)だけ錘がずれると、図の右に示した放物線に沿って上がって行き、常に中心に引き戻される力が働いて振動する。このような振動を調和振動子という。

この場合のハミルトニアンの運動エネルギーは箱の中の粒子の場合と同じになり、位置エネルギーは\(\,U(x)=\frac{1}{2}kx^2\,\) であるから、この調和振動子の波動方程式は次のように表される。

\(\left(-\dfrac{\hbar^2}{2m}\dfrac{d^2}{dx^2}+\dfrac{1}{2}kx^2\right)\Psi=E\Psi\quad\cdots\,\)(1.8)

この微分方程式は、次のように波動関数を仮定すると解くことができる。

\(\quad\Psi(x)=e^{-ax^2}\,\displaystyle\sum_{i=0}b_ix^i\quad\cdots\,\)(1.9)

解いた結果、次式に従うエネルギー準位が得られる。

\(\quad E_n=\left(n+\dfrac{1}{2}\right)h\nu\qquad(n=0,1,2,\cdots)\quad\cdots\,\)(1.10)

ここで、\(\,n=0,1,2,\cdots\,\) は振動の量子数(振動量子数)であり、\(h\,\)はプランク定数で、\(\nu\,\)はこの振動の固有振動数である。


調和振動子に許されるエネルギー準位は図の左に示すように等間隔になる。その間隔は、振動のエネルギー量子\(\,h\nu\,\)であり,固有振動数\(\,\nu\,\)はバネの力の定数が\(\,k\,\)で質量が\(\,m\,\)の古典力学の振動子と全く同じで、次式によって与えられる。

\(\quad\nu=\dfrac{1}{2\pi}\sqrt{\dfrac{k}{m}}\quad\cdots\,\)(1.11)

量子論の振動子には、古典力学と明らかに違った注目すべき特徴がある。エネルギーが最低の状態(基底状態)でも、そのエネルギーは\(\,0\,\)にならず、\(\,\dfrac{1}{2}h\nu\,\)というエネルギーをもって振動する。このエネルギーをゼロ点エネルギーといい、その時の振動をゼロ点振動という。

図の左に示したように、調和振動子の波動関数は中心の周りで振動子、遠くに行くと減衰する。値が\(\,0\,\)になる節の数は量子数\(\,n\,\)に等しく、エネルギーが高いほど多くなる。

1-3. 2粒子系の運動方程式

2個の粒子を含む場合すなわち2粒子系の波動方程式は、以下のように取り扱うと1個の粒子の問題になり簡単になる。図の左に示したように、質量\(\,m_1\,\)と\(\,m_2\,\)の2個の球が距離$r$で結ばれているとして、その運動を考える。
ここで重心を座標原点に固定すると、\(\,r_1\,\)と\(\,r_2\,\)の和が\(\,r\,\)になり、2個の粒子の相対運動は長さが\(\,r\,\)の棒の先端につけた1つの球の運動の問題に単純化される。そのとき先端の粒子の質量\(\,\mu\,\)は、2個の粒子の質量の逆数の和の逆数になる。

\(\quad\)換算質量\(\quad\mu=\dfrac{1}{\frac{1}{m_1}+\frac{1}{m_2}}\)

こうして2個の粒子の相対運動は、換算質量をもつ1つの粒子の運動として取り扱うことが出来る。したがって、その波動方程式は次のように、1つの粒子の方程式と同じになる。

\(\quad\left(-\dfrac{\hbar^2}{2\mu}\Delta+U\right)\Psi=E\Psi\quad\cdots\,\)(1.13)

このような問題では、原点からの距離\(\,r\,\)が特別に重要なので、直交座標系\(\,(x,y,z)\,\)の代わりに、図の右に示す3次元の極座標\(\,(r,\theta,\varphi\,)\,\)を変数にとる。すると体積要素\(\,dxdydz\,\)とラプラシアン\(\,\Delta\,\)は、以下のように表される。

\(\quad\)体積要素\(\quad dxdydz=r^2\sin\theta dr d\theta d\varphi\quad\cdots\,\)(1.14)

\(\quad\)ラプラシアン\(\quad \Delta=\dfrac{1}{r^2}\dfrac{\partial}{\partial r}\left(r^2\dfrac{\partial}{\partial r}\right)+\dfrac{1}{r^2}\Lambda\quad\cdots\,\)(1.15)

\(\quad\)ルジャンドリアン\(\quad \Lambda=\dfrac{1}{\sin\theta}\dfrac{\partial}{\partial\theta}\left(\sin\theta\dfrac{\partial}{\partial\theta}\right)+\dfrac{1}{\sin^2\theta}\dfrac{\partial^2}{\partial\varphi^2}\quad\)(1.16)

ここで、(1.15)式のラプラシアンに含まれる\(\,\Lambda\,\)は角度に依存する演算子であり、ルジャンドリアンと呼ばれる。

1-4. 剛体回転子

2量子系の波動方程式は、換算質量\(\,\mu\,\)を使うと原点から距離\(\,r\,\)のところに繋がれた1個の粒子の回転運動になる。距離\(\,r\,\)が一定なので\(\,r\,\)に関する微分は消えてしまい、また位置エネルギーも\(\,0\,\)とおいてよいので、その波動方程式は次のように単純な式になる。

\(\quad-\dfrac{\hbar^2}{2I}\Delta\Psi=E\Psi\quad\cdots\,\)(1.17)

ここで、次式で表される\(\,I\,\)は、重心を軸とする回転運動の慣性モーメントである。

\(\quad I=\mu r^2\quad\cdots\,\)(1.18)

(1.17)式の波動方程式は三角関数を組み合わせた式を仮定して解くことが出来、その結果、剛体回転子に許されるエネルギーは次式のように、整数値をとる回転量子数\(\,J\,\)によって飛び飛びの準位になる。

\(\quad E=\dfrac{J(J+1)\hbar^2}{2I}\qquad (J=0,1,2,\cdots)\quad\cdots\,\)(1.19)

剛体回転子の波動方程式は、数学でよく知られている球面調和関数\(\,Y_{J,m}(\theta,\varphi)\,\)というものになり、それは\(\,J\,\)のほかにもう一つの量子数\(\,m\,\)にも依存している。\(\,J\,\)が決まれば、それに従って\(\,m\,\)のとりうる範囲が決まる。\(\,m\,\)は\(\,J\,\)から\(\,J-1,J-2,\cdots,0,\cdots,-J\,\)まで、合計\(\,2J+1\,\)通りの値が可能である。

\(\quad Y_{00}(\theta,\varphi)=\left(\dfrac{1}{4\pi}\right)^{1/2}\quad\cdots\,\)(1.20)
\(\quad Y_{10}(\theta,\varphi)=\left(\dfrac{3}{4\pi}\right)^{1/2}\cos\theta\quad\cdots\,\)(1.21)
\(\quad Y_{1\pm1}(\theta,\varphi)=\mp\left(\dfrac{3}{8\pi}\right)^{1/2}\sin\theta\ e^{\pm i\varphi}\quad\cdots\,\)(1.22)
\(\quad Y_{20}(\theta,\varphi)=\left(\dfrac{5}{16\pi}\right)^{1/2}(3\cos^2\theta-1)(\quad\cdots\,\)(1.23)
\(\quad Y_{2\pm1}(\theta,\varphi)=\mp\left(\dfrac{15}{8\pi}\right)^{1/2}\sin\theta\ \cos\theta\ e^{\pm i\varphi}\quad\cdots\,\)(1.24)
\(\quad Y_{2\pm2}(\theta,\varphi)=\mp\left(\dfrac{15}{32\pi}\right)^{1/2}\sin^2\theta\ e^{\pm i2\varphi}\quad\)(1.25)

2.分子の回転

2-1. 回転運動のエネルギー

質量\(\,m\,\)、速度\(\,v\,\)の直線運動の大きさが運動量\(\,p=mv\,\)で、運動に伴うエネルギーは

\(\quad E=\dfrac{1}{2}mv^2=\dfrac{1}{2}\dfrac{p^2}{m}\quad\cdots\,\)(2.1)

である。一方、回転運動の大きさを表す量が角運動量であり、回転の軸から距離\(\,r\,\)にあって、運動量\(\,p\,\)で運動している物体の角運動量\(\,p_{\theta}\,\)は、

\(\quad p_{\theta}=r\times p\quad\cdots\,\)(2.2)

と表される。\(\,p_{\theta}\,\)は運動量を含むベクトルである。この角運動量を用いて、回転運動のエネルギーは

\(\quad E=\dfrac{1}{2}\dfrac{p_{\theta}^2}{I}\quad\cdots\,\)(2.3)

のように表される。式(2.1)と(2.3)を比較すると対応していることが分かる。

直線運動を行う物体で運動の持続性(慣性)に影響する量である質量に対応するのが、回転運動における\(\,I\,\)であり、慣性モーメントと呼ばれる。慣性モーメントは

\(\quad I=\sum_im_ir_i^2=\sum_im_i(x_i^2+y_i^2+z_i^2)\quad\)(2.4)

であるが、2原子分子では換算質量\(\,\mu\,\)と原子間の距離\(\,r\,\)を使うと、以下の簡単な式で表すことが出来る

\(\quad \mu=\dfrac{m_1\cdot m_2}{m_1+m_2}\quad\cdots\,\)(2.5)

\(\quad I=\mu r^2\quad\cdots\,\)(2.6)

式(2.3)には運動量\(\,p_{\theta}\,\)が含まれており、この式を量子の世界にもちこむには、その\(\,p_{\theta}\,\)を演算子に置き換えればよい。その結果

\(\quad p_{\theta}=\sqrt{J(J+1)}\hbar\quad\cdots\,\)(2.7)

と置き換えることが出来る。従って、式(2.3)の2原子分子の場合の量子論的な表現は式(1.19)のように

\(\quad E=\dfrac{J(J+1)\hbar^2}{2I}=BJ(J+1)\qquad (J=0,1,2,\cdots)\quad\cdots\,\)(2.8)

となる。ここで\(\,J\,\)は回転量子数であり、\(\,0\,\)を含む整数のみが許される。すなわち回転エネルギーは量子化されており、飛び飛びの準位のみが許されることになる。\(\,B\,\)は回転定数と呼ばれるもので次式で表される。

\(\quad B=\dfrac{h}{8\pi^2I}\quad\)周波数単位}\(\qquad \dfrac{h}{8\pi^2c_0I}\quad\)波数単位\(\quad\cdots\,\)(2.9)

2-2. 観測される回転スペクトル

回転運動だけに起因するスペクトルはマイクロ波領域から遠赤外線領域に現れる。図は期待状態のCO分子の吸収スペクトルである。規則的な間隔の吸収線からなる。式(2.8)より2原子分子の場合の回転エネルギー準位は下図のようになることが理論的に予測できる。

回転量子数の\(\,J=0,1,2,3,\cdots\,\)に対して、エネルギー準位は\(\, 0,2B,6B,12B,\cdots\,\)となる。従って隣接するエネルギー準位間の大きさは \(\,2B,4B,6B,\cdots\,\)である。これを横軸にエネルギーをとってプロットすると図の下に示したようにスペクトルの位置が\(\,2B\,\)の間隔で並ぶ。これは実測のスペクトルとぴったり一致する。

このようにして、光子を1つ吸収することによる(2原子分子の)回転遷移は、\(\,J\,\)の値が1つだけ変化する状態の間に起こることがわかる。吸収はエネルギーが増える方向への遷移であるが、エネルギーが減る方向の瀬には発光スペクトルとして観測され、実際同様なスペクトルを示すことがわかっている。すなわち回転遷移の選択則は\(\,\Delta J=\pm 1\,\)である。ここでは、この選択則を実測との対応から導いたが、理論的にも同じ結果が導かれる。

以上のようにして、実測スペクトルの間隔から回転定数\(\,B\,\)が決定できる。この\(\,B\,\)は(2.9)式に定義された量であるから、\(\,B\,\)がわかるということは慣性モーメント\(\,I\,\)が実験的に求められたことを意味する。これより\(\,B\to I\to r\,\)のようにして、分子の構造を与える情報\(\,r\,\)が得られることになる。

2原子分子であるNO分子についても同様な解析が可能であり、実測スペクトルから分子構造に関する情報を導くことができる。それらの結果を以下の表にまとめる。

\(\mu\) (kg) 回転定数\(\,B\) (Hz) \(B\,\)cm\(^{-1}\) 結合距離 \(r\,\mathring{\mathrm{A}}\)
\(^{12}\)CO \(1.139\!\times\!10^{-26}\) \(5.793\times 10^{10}\) \(1.932\) \(1.128\)
\(^{13}\)CO \(1.191\!\times\!10^{-26}\) \(5.538\times 10^{10}\) \(1.847\) \(1.128\)
NO \(5.012\!\times\!10^{10}\) \(1.672\) \(1.151\)

COの場合、\(J\!=\!1\!-\!0\,\)の回転遷移では、\(E=BJ(J+1)\,\) より、\(115.9\)GHz となり、\(^{13}\)COでは、\(110.8\)GHzとなる。\(J\!=\!2\!-\!1\,\)の場合は \(\,6B-2B=4B\,\)なので、\(^{12}\)CO は\(231.7\)GHzで、\(^{13}\)COは\(\,221.5\,\)GHzになる。

2-3. 観測されたスペクトル


爆発的星形成銀河(starburst銀河)M82の中心数100pc領域における、赤外線から電波に至る波長領域のスペクトル。大別して、(1)周波数に対して、連続的に放射強度が変化している「連続波放射」と、(2)ある特定の周波数でのみ、強い放射を示す「スペクトル線放射」とに分けられる。
連続波放射は、主に波長の長い電波域におけるシンクロトロン放射(磁場の中を高速で運動している電子からの放射)と、サブミリ波~赤外線域にかけて、大きな山をつくっている成分、すなわち、星間ダスト(星間空間中に存在する、シリケイトなどの固体微粒子)からの熱放射の重ね合わせとしてよく説明でできる。
この他、ミリ波付近には自由・自由遷移放射(電離領域中を運動する自由電子からの放射)も見られる。一方、この波長帯のスペクトル線放射としては、原子からの再結合線(桃色)・微細構造線(赤)・超微細構造線、分子からの回転線(青)などがみられる。







ステファン・ボルツマンの法則-2

1.プランクの法則 (Planck’s law)
物理学における黒体から輻射(放射)される電磁波の分光放射輝度、もしくはエネルギー密度の波長分布に関する公式。プランクの公式とも呼ばれる。ある温度\(\,T\,\)における黒体からの電磁輻射の分光放射輝度を全波長領域において正しく説明することができる。1900年、ドイツの物理学者マックス・プランクによって導かれた。

プランクはこの法則の導出を考える中で、輻射場の振動子のエネルギーが、あるエネルギー素量(現在ではエネルギー量子と呼ばれている)\(\,\epsilon=h\nu\,\)の整数倍になっていると仮定した。このエネルギーの量子仮説(量子化)はその後の量子力学の幕開けに大きな影響を与えている。
 プランクの放射式では、単位振動数\(\,\nu\,\)あたりの黒体輻射強度を以下のように表す。

\(\quad B_{\nu}(T)=\dfrac{2h}{c^2}\dfrac{\nu^3}{e^{h\nu/kT}-1}\quad\cdots\,\)(1)

なお、ここで\(\,c\,\)は光速、\(\,h\,\)はプランク定数、\(\,k\,\) はボルツマン定数である。このプランクの放射式に温度\(\,T\,\)に3000K\(\sim\)7000Kを代入してプロットしたのが下図である。

2.全黒体輻射強度 (Total blackbody radiation intensity)
このプランクの放射式を全振動数で積分したものを、全黒体輻射強度\(\,B(T)\,\) という。(1)式で、\(\,x=h\nu/kT\,\)とおくと、

\(\quad B_x(T)=\dfrac{2k^3T^3}{c^2h^2}\dfrac{x^3}{e^x-1}\quad\cdots\,\)(2)

となり、全振動数で積分すると

\(\quad \displaystyle\int_0^{\infty}B_{\nu}(T)d\nu=\displaystyle\int_0^{\infty}B_x(T)\,\dfrac{kT}{h}\,dx\quad\cdots\,\)(3)

\(\quad B(T)=\dfrac{2k^4T^4}{c^2h^3}\displaystyle\int_0^{\infty}\dfrac{x^3}{e^x-1}\,dx\quad\cdots\,\)(4)

(4)式の積分は\(\,\pi^4/15\,\)となるので、
全黒体輻射強度(放射輝度)[単位 Wm\(^{-2}\)sr\(^{-2}\)K\(^{-4}\)] は

\(\quad B(T)=\dfrac{2\pi^4k^4T^4}{15c^2h^3}=\dfrac{\sigma}{\pi}T^4\quad\cdots\,\)(5)
となる。

3.\(\,\,\,\,x^3/e^x-1\,\)の\(\,\,\)積分の計算

\(\quad\dfrac{x^3}{e^x-1}=\dfrac{x^3}{e^x}\dfrac{1}{1-e^{-x}}\quad\cdots\,\)(6)

(6)式の最後の項は公比\(\,e^{-x}\,\)の等比数列の和とすると

\(\quad\dfrac{1}{1-e^{-x}}=1+e^{-x}+e^{-2x}+\cdots\)
となるので

\(\quad\dfrac{x^3}{e^x-1}=x^3(e^{-x}+e^{-2x}+e^{-3x}+\cdots)\quad\cdots\,\)(7)

ここで\(\,x^pe^{-ax}\,\)の形の関数を積分するために、ガンマ関数を利用する。
ガンマ関数の定義から

\(\quad\varGamma(q)=\displaystyle\int_0^{\infty}y^{q-1}e^{-y}dy=(q-1)\,!\quad\cdots\,\)(8)

ここで、\(\,p=q-1\,\)とすると
\(\quad p\,!=\displaystyle\int_0^{\infty}y^pe^{-y}dy\quad\cdots\,\)(9)

\(\,\,y=ax\,\)とすると\(\,dy=a\,dx\,\)で、(9)式に代入すると

\(\quad p\,!=\displaystyle\int_0^{\infty}(ax)^pae^{-ax}dx=a^{p+1}\displaystyle\int_0^{\infty}x^pe^{-ax}dx\quad\cdots\,\)(10)

よって

\(\quad\displaystyle\int_0^{\infty}x^pe^{-ax}dx=\dfrac{p\,!}{a^{p+1}}\quad\cdots\,\)(11)

これを使って(7)式を積分すると

\(\quad\displaystyle\int_0^{\infty}\!\dfrac{x^3}{e^x-1}dx=\displaystyle\int_0^{\infty}\!x^3(e^{-x}+e^{-2x}+\cdots)dx=\dfrac{3!}{1^4}+\dfrac{3!}{2^4}+\cdots\quad\)

ここでゼータ関数より

\(\quad\zeta(4)=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^4}=\dfrac{1}{1^4}+\dfrac{1}{2^4}+\cdots=\dfrac{\pi^4}{90}\quad\cdots\,\)(12)

なので

\(\quad\displaystyle\int_0^{\infty}\dfrac{x^3}{e^x-1}dx=\dfrac{3!}{1^4}+\dfrac{3!}{2^4}+\cdots=3\,!\,\zeta(4)=\dfrac{\pi^4}{15}\quad\cdots\,\)(13)

4.放射エネルギー
全立体角に対する積分は
\(\quad\displaystyle\int\cos\theta\,d\Omega=\displaystyle\int_0^{2\pi}\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos\theta\,\sin\theta\,d\theta\,d\phi=\pi\quad\cdots\,\)(14)

よって黒体の単位面積当たりの放射エネルギー\(\,I\,\)は

\(\quad I=\pi\displaystyle\int B_{\nu}d\nu=\dfrac{2\pi^5k^4}{15c^2h^3}T^4=\sigma T^4\quad\cdots\,\)(15)

ここで、\(\,\sigma\,\)はステファン・ボルツマン係数である

\(\quad\sigma=\dfrac{2\pi^5k^4}{15c^2h^3}=5.67\times 10^{-8}\)W/m\(^2\)K\(^4\quad\cdots\,\)(16)







ステファン・ボルツマンの法則-1

1. あらゆる物体は光を放っている
 電磁波というのは電荷を持った粒子が振動することで発生する。そして電荷を持った粒子は、どこからか飛んできた電磁波を受けると、その影響で振動する。そこらじゅうにある原子は内部に電荷を持っているのだから、何らかの方法で電磁波を放出し、また受け止めていると考えられる。

例えば太陽の光だって電磁波の一種だが、それを受け止めた物体は熱くなる。電磁波の形で遠くから届いたエネルギーが熱に変わるからだ。逆のことも起きている。キャンプファイヤーが終わった後で火を消すと辺りは真っ暗になるが、その真っ暗闇の中で、さっきまで焼かれていた石がぼんやりと赤黒く光っていることがある。そこらにある普通の石が、内部から光を放っているように見えて、少し不気味ではあるが、何だか綺麗だ。

他にも色んな例がある。ストーブの中で焼けた鉄板が赤く光っている。焚き火のときに炭が赤く光っている。ハロゲンヒーターが赤熱している。その光を浴びると、すぐに暖かく感じる。これは間にある空気を伝わって暖められるわけではない。光によって直接暖められるせいだ。このように、熱せられた物体から光や電磁波が出る現象を「熱放射」と呼ぶ。

では物体は何度くらいから光を出し始めるのだろう。実は目に見えないだけで、低い温度の物体でも電磁波を出しているらしい。体温の高い人が近くに来ると直接触らなくても暖かさを感じることがあるだろう。それはその人の体から、可視光線よりも低いエネルギーの光である赤外線が放射されているのだ。

2. ステファン・ボルツマンの法則
では物体は一体どれほどのエネルギーを熱放射の形で放出しているのだろうか?それを調べたのはヨーゼフ・ステファンという 19 世紀の科学者であり、実はあのボルツマンの師である。彼は他の学者たちが過去に行った幾つかの実験結果をまとめた上で、自らも白金の針金に電流を流して赤熱させる実験を行ったりして、熱放射のエネルギー\(\,K\,\)と物体の温度\(\,T\,\)との間に次のような関係があるのではないかという提案を行った。 (1879)

\(\quad K=\sigma T^4\quad\cdots\,\)(1)

この式は「ステファン・ボルツマンの法則」と呼ばれている。なぜボルツマンの名前が入っているかというと、後に、弟子のボルツマンが、当時の最新理論である電磁気学と熱力学を使って、この法則の根拠を説明することに成功したからである。 (1884)

にもかかわらず、この結果はしばらくの間認められることはなかった。多くの科学者がこの実験結果を確認しようとしたが、追試がうまくいかなかったのである。今ではその理由ははっきり分かっているのだが、この法則には少しばかり適用条件があって、当時はそのことがまだ良く分かっていなかったのである。ステファンの実験がうまく行ったのは偶然の幸運であろうと言われている。

3. 理論的導出
 電磁波はエネルギーだけでなく運動量をも持つのだということを、電磁気学で学んだ。そこで、こんなことを考えてみよう。容器の壁が温度\(\,T\,\)の物質で出来ていて、そこから放出された電磁波で容器の中が一様に満たされており、そのエネルギー密度が\(\,u\,\)になっていたとする。

 この仮定は次のような考えを根拠にしている。もし容器の壁から内側へ向けて電磁波が放出される一方だとすると、容器内部の電磁場のエネルギーは無限に増える一方となるだろう。しかしそうならないのは、容器の壁は電磁場を放出すると同時に吸収も行っていて、一定の状態で安定しているせいだと考えられる。容器の中の電磁場と容器の壁とは熱平衡に達しているというわけだ。電磁場に対しても、温度という概念が使えるということでもある。というわけで、\(\,u\,\)は\(\,T\,\)の関数だと言えるだろう。
さて、そのときの運動量密度\(\,w\,\)と\(\,u\,\)の間には\(\,u=cw\,\)という関係がある。

4. 電磁波のエネルギー密度
 マックスウェルの方程式から次の波動方程式が導かれる
\(\quad\nabla^2\mathbf{B}-\dfrac{1}{c^2}\dfrac{\partial^2\mathbf{B}}{\partial t^2}=0\qquad\nabla^2\mathbf{E}-\dfrac{1}{c^2}\dfrac{\partial^2\mathbf{E}}{\partial t^2}=0\quad\cdots\,\)(2)

空間に領域Dをとり、その内部で電磁場が荷電粒子系に及ぼす単位体積当たりの力は
\(\quad\mathbf{f}=\rho\mathbf{E}+\mathbf{j}\times\mathbf{B}\quad\cdots\,\)(3)
であるので荷電粒子系の運動方程式は
\(\quad\dfrac{d\mathbf{P}_{\text{粒子}}}{dt}=\displaystyle\int_{\mathrm{D}}\mathbf{f}\,dv\quad\cdots\,\)(4)
となる。\(\mathbf{P}_{\text{粒子}}\,\)は粒子系の全運動量である。

ここで電場についてのガウスの法則と拡張されたアンペールの法則を使って\(\,\mathbf{f}\,\)を表すと
\(\mathbf{f}=\epsilon_0(\nabla\cdot\mathbf{E})\mathbf{E}-\epsilon_0\dfrac{\partial\mathbf{E}}{\partial t}\times\mathbf{B}+\dfrac{1}{\mu_0}(\nabla\times\mathbf{B})\times\mathbf{B}\quad\cdots\,\)(5)

これよりD内の電磁場の運動量は単位体積当たり以下の値を持つ
\(\quad\mathbf{p}_{\text{場}}\equiv\epsilon_0\mathbf{E}\times\mathbf{B}\quad\cdots\,\)(6)

ここで電束密度\(\,\mathbf{D}=\epsilon_0\mathbf{E}\)、磁束密度\(\,\mathbf{B}=\mu_0\mathbf{H}\,\)であり、真空中を伝搬する電磁場の電場\(\,\mathbf{E}\)と磁束密度\(\,\mathbf{B}\)の大きさの間には\(\,|\mathbf{E}|=c|\mathbf{B}|\)なる関係が成立する。

電場の大きさを\(\,E=|\mathbf{E}|\)とすると電磁場のエネルギー密度
\(\quad u=\dfrac{1}{2}(\mathbf{E}\cdot\mathbf{D}+\mathbf{B}\cdot\mathbf{H})=\dfrac{1}{2}\left(\epsilon_0E^2+\dfrac{E^2}{c^2\mu_0}\right)\)
\(\qquad =\dfrac{1}{2}(\epsilon_0E^2+\epsilon_0E^2)=\epsilon_0E^2\quad\cdots\,\)(7)

一方、運動量密度\(\,w\,\)は
\(\quad w=|\mathbf{D}\times\mathbf{B}|=\epsilon_0E\cdot\dfrac{E}{c}=\dfrac{\epsilon_0E}{c}=\dfrac{u}{c}\quad\cdots\,\)(8)

5. 電磁波による圧力

 ここで、容器の内部の電磁波を考える。電磁波は容器の壁に当たるたびに壁に運動量を与えるのだから、容器の壁を圧力\(\,p\,\)で押すことだろう。まずは、その\(\,p\,\)と\(\,u\,\)の関係を導く。

説明が簡単に済むように、一辺の長さが\(\,L\,\)の立方体の容器を考えてみる。そしてどの壁を考えても同じことではあるのだが、極座標の積分計算を分かりやすくする都合で、\(\,z\,\)軸の正の方向にある壁に与える圧力を考える。

容器内の全ての電磁波が一つの方向を向いているとする。その全運動量\(\,P\,\)は運動量密度\(\,w\,\)と体積\(\,V=L^3\,\)を掛けて、\(P=wL^3\,\)と表せる。

全ての電磁波の向かう一つの方向というのが、\(\,z\,\)軸に対して\(\,\theta\,\)の角度を持った方向だとすると、壁に当たって反射するたびに、合計で\(\,2P\cos\theta\,\)の運動量を与えることになる。

その頻度であるが、電磁波の速度の\(\,z\,\)軸方向成分が\(\,c\,\cos\theta\,\)であり、往復\(\,2L\,\)の距離を進むたびに再び同じ壁に当たるのだから、1秒間に\(\,c\,\cos\theta/2L\,\)回の衝突を行うことになる。

力というのは1 秒あたりの運動量変化のことであり、それを面積\(\,L^2\,\)で割れば圧力\(\,p\,\)が求まることになる。

\(\quad p=2P\cos\theta\times\dfrac{c\,\cos\theta}{2L}\div L^2\)
\(\qquad =2wL^3\cos\theta\times\dfrac{c\cos\theta}{2L^3}\)
\(\qquad =wc\,\cos^2\theta=u\,\cos^2\theta\quad\cdots\,\)(9)

という形になる。しかしこの結果は、全ての電磁波が一つの方向を向いていると仮定した上での話であり、実際にはあらゆる方向を向いているはずだから、全方向について平等に平均をしてやらないといけないだろう。その為には立体角の考えを使えば良さそうだ。自分が半径1の球の中心にいて、周囲をぐるっと見回していると想像してみよう。どの方向も等しいのだから、この球の表面積にわたって今の結果を積分してやればいい。平均を取るためにはそれを表面積\(\,4\pi\,\)で割ってやればいい。

\(\quad p=\dfrac{u}{4\pi}\displaystyle\int_0^{\pi}\cos^2\theta\sin\theta\,d\theta\displaystyle\int_0^{2\pi}d\phi\)
\(\qquad =\dfrac{u}{4\pi}\left[-\dfrac{1}{3}\cos^3\theta\right]_0^{\pi}\times 2\pi\)
\(\qquad =\dfrac{u}{3}\quad\cdots\)(10)

6. 熱力学的考察
 可逆過程での内部エネルギー(\(\,U\,\))変化において以下の関係式がある。
\(\quad dU=T\,dS-p\,dV\quad\) これを変形して
\(\quad\left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_T=T\left(\dfrac{\partial p}{\partial T}\right)_V-p\quad\cdots\,\)(11)

という式を作ることが出来る。これに\(\,T\,\)一定の条件下で\(\,V\,\)を変化させ、マクスウェルの関係式を当てはめる。電磁波の場合、この左辺はエネルギー密度\(\,u\,\)になる。

圧力\(\,p\,\)に式(10)を代入すると式(11)は
\(\quad u=\dfrac{1}{3}\,T\,\dfrac{du}{dT}-\dfrac{u}{3}\\[4pt]\therefore\,4u=T\,\dfrac{du}{dT}\qquad\dfrac{du}{u}=4\,\dfrac{dT}{T}\\[4pt]\quad\log u=4\log T+C\qquad\therefore\,\,u=aT^4\quad\cdots\text{(12)}\)となり、形の上ではステファン・ボルツマンの法則と同じものが導かれたことになる。

しかし\(\,u\,\)というのは、物体と電磁場とが熱平衡にあるときの電磁場のエネルギー密度を示しているのであって、物体から放出されるエネルギー\(\,K\,\)とは少し違う概念である。

7. 概念の整理
\(\,K\,\)の意味を「物体の単位表面積から単位時間あたりに放出されるエネルギー」だと言えるようにまとめることが出来れば使いやすい法則になりそうである。
微小面積\(\,dS\,\)から放出される電磁波をイメージする。
その微小面の法線方向から\(\,\theta\,\)だけずれた方向へ向かって微小時間\(\,dt\,\)に出て行った電磁波は、図のような筒状体積の内部にあることになるだろう。その体積は\(\,c\,\cos\theta\,dtdS\,\)である。

しかしこの筒状体積とエネルギー密度\(\,u\,\)をかけるだけで、そのエネルギー量が求まるほど単純ではない。なぜなら、このエネルギー密度\(\,u\,\)というのは、あらゆる方向に向かう電磁波が均等に重なり合った合計のエネルギー密度を表しているからである。

今知りたいのは、\(\,\theta\,\)方向へ流れる電磁波のエネルギーだけなのだが、その割合は全方向に向かう電磁波のエネルギーの中でどれくらいあると言えるだろうか。いや、厳密に\(\,\theta\,\)方向に向かう電磁波だけに限定してしまうとそれは無に等しいのである。だからある程度の微小幅を許容して考えないといけない。

こういう時は立体角の考えを使う。半径1の球殻を考え、その表面積の比で表すのである。角度\(\,d\theta\,\)と\(\,d\phi\,\)によって張られる球殻上の微小表面積は\(\,sin\theta\,d\theta\,d\phi\,\)と表されるから、全球殻の面積\(\,4\pi\,\)と比べた割合は\(\,1/4\pi\,\sin\theta\,d\theta\,d\phi\,\)となるだろう。

先ほど考えた筒状領域を、厳密に一方向として考えるのではなく、角度\(\,d\theta\,\)と\(\,d\phi\,\)の微小角度の幅を許してやれば、その範囲を向いている電磁波のエネルギーは

\(\quad\dfrac{1}{4\pi}uc\,\cos\theta\sin\theta\,d\theta\,d\phi\,dt\,dS\quad\cdots\,\)(13)

と表せることになる。この式(13)を微小面より上にある全ての方向について積分してやれば、微小面\(\,dS\,\)から微小時間\(\,dt\,\)内にあらゆる方向へ出て行くエネルギーを表せる。

\(\quad\dfrac{1}{4\pi}uc\,dt\,dS\displaystyle\int_0^{\pi/2}\cos\theta\sin\theta\,d\theta\displaystyle\int_0^{2\pi}d\phi\\[3pt]\qquad=\dfrac{1}{2}uc\,dt\,dS\displaystyle\int_0^{\pi/2}\dfrac{1}{2}\sin 2\theta\,d\theta\\[3pt]\quad =\dfrac{1}{2}uc\,dt\,dS\left[-\dfrac{1}{4}\cos 2\theta\right]_0^{\pi/2}\\[3pt]\quad =\dfrac{1}{4}uc\,dt\,dS\quad\cdots\,\text{(14)}\)

意味を考えれば今計算したのは\(\,K\,dt\,dS\,\)のことでもある。つまり\(\,K\,\)というのは、

\(\quad K=\dfrac{c}{4}u\quad\cdots\,\)(15)
に相当することが言えるのである。ここに先ほどの\(\,u=aT^4\,\)を代入すれば、

\(\quad K=\dfrac{ca}{4}\,T^4=\,\sigma T^4\quad\cdots\,\)(16)

という形が成り立っていることが言えるのである。普通はステファン・ボルツマンの法則と言えば、ここで使ったような意味での\(\,K\,\)と温度\(\,T\,\)の関係のことであり、「ステファン・ボルツマンの定数」として良く知られた\(\,\sigma\,\)もその意味に合うような数値が書かれていることが多い。







レーン=エムデン方程式(3)

レーン=エムデン方程式は以下の形で表される

\(\quad\dfrac{1}{\xi^2}\dfrac{d}{d\xi}\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)=-\theta^N\qquad\cdots\,\)(1)

境界条件は、\(\xi\to 0\,\)のとき\(\,\theta=1\,,\,\dfrac{d\theta}{d\xi}=0\,\)である。

[1]中心近傍での扱い
この方程式は\(\xi=0\,\)が確定特異点になっている。この場合、特異点近傍でローラン級数展開を考える。\(\xi=0\,\)の周りの形式解を以下のようにする。

\(\quad\theta(\xi)=1+a_2\xi^2+a_4\xi^4+\cdots\qquad\)(2)

式(2)を式(1)の左辺に代入する。まず、\(\xi\,\)で微分すると

\(\quad\dfrac{d\theta}{d\xi}=2a_2\xi+4a_4\xi^3+\cdots\qquad\)(3)

さらに\(\xi^2\,\)をかけて微分すると

\(\quad\dfrac{d}{d\xi}\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)=6a_2\xi^2+20a_4\xi^4+\cdots\qquad\)(4)

\(\therefore\,\,\)左辺\(\,\,=6a_2+20a_4\xi^2+\cdots\qquad\)(5)

右辺は、まず\(B_2=a_2\xi^2\,,\,B_4=a_4\xi^4\,,\cdots\,\)として、

\(\quad(1+B_2+B_4+\cdots)^N\,\)の展開を考える。

最初の\(\,1\,\)の項は\(\,1^NB_2^0B_4^0\cdots\,\)であるので、

係数は\(\,\dfrac{N!}{N!0!0!\cdots}\,\)となる。

次の項は\(1^{N-1}B_2^1B_4^0\cdots\,\)で、

係数は\(\,\dfrac{N!}{(N-1)!1!0!\cdots}\,\)となり、

次の\(1^{N-1}B_2^0B_4^1B_6^0\cdots\,\)の係数は

\(\,\dfrac{N!}{(N-1)!0!1!0!\cdots}\,\)となる。因って

\(\quad(1+B_2+B_4+\cdots)^N=1+NB_2+NB_4+\cdots\qquad\)(6)

右辺\(\,=-\theta^N=-1-Na_2\xi^2-Na_4\xi^4-\cdots\,\)となるので

\(\,\xi^m\,\)の係数を比較すると

\(\quad 6a_2=-1\,,\qquad 20a_2=-Na_4\qquad\)となり

\(\quad a_2=-\dfrac{1}{6}\,,\qquad a_4=\dfrac{N}{120}\quad\)を得る。

よって中心近傍での解は

\(\quad \theta(\xi)\simeq 1-\dfrac{1}{6}\xi^2+\dfrac{N}{120}\xi^4\quad\cdots\,\)(7)

と表すことが出来る。

[2]数値計算
この方程式は(その2)で求めた解析解以外の解は数値計算に因らざる得ない。
\(\bigstar\,\)常微分方程式の解法
\(\quad\dfrac{dy_i}{dx}=f_i[x,y_i(x)]\quad i=1,2,\dots\quad\)(8)

を初期値問題として数値的に解く。
まず、\(x=x_0\,\)において初期値\(\,y_i(x_0)=y_{i0}\,\)が与えられたとき、\(x=x_0+h\,\)での\(\,y_i\,\)の値\(\,y_i(x_0+h)\,\)をもとめ、次のステップでその\(\,(x,y_i)\,\)を新たな初期値として処理を繰り返す。
\(x_0\,\)と\(\,x_0+h\,\)の間の中間の\(\,x\,\)における導関数、\(f(x,y)\,\)の関数値を何回か計算し、それらの適当な平均を用いることによって、高次のTaylor展開を達成するのが Runge-Kutta 法である。

\(\bigstar\,\)Runge-Kutta 法
\(\quad k_1=hf(x_0,y_0)\qquad\qquad\qquad\cdots\,\)(9)
\(\quad k_2=hf(x_0+\frac{h}{2},y_0+\frac{k_1}{2})\qquad\cdots\,\)(10)
\(\quad k_3=hf(x_0+\frac{h}{2},y_0+\frac{k_2}{2})\qquad\cdots\,\)(11)
\(\quad k_4=hf(x_0+h,y_0+k_3)\qquad\cdots\,\)(12)
\(\quad y(x_0+h)=y(x_0)+\frac{1}{6}[K_1+2(K_2+k_3)+k_4]\,\cdots\,\)(13)

まず点(\(\,x_i,y_i\,\))での微係数から\(\,y\,\)の増分\(\,k_1\,\)を推定する(式9)。次に(\(\,x_i,y_i\,\))と今得た点(\(\,x_i+\Delta x,y_i+k_1\,)\)の中間点での微係数から、これに平行な破線で示す直線によって増分\(\,k_2\,\)の推定を行う(式10)。これより第3の推定点\((\,x_i+\Delta x,y_i+k_3\,)\)を得る。第4の推定点まで求めたところで、これら4つの増分推定を\(\,1:2:2:1\,\)の重みを付けて平均化し、これを最終的な増分推定として\(\,y_{i+1}\,\)を求める(式13)。この式は Taylor展開の4次の精度を持つ。

\(\bigstar\,\) 初期値とプログラミング
解くべき式は(1)式だが、\(\xi=x\,,\,\theta=y\,\)と書き換えて見やすくする。

\(\quad\dfrac{1}{x^2}\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)=-y^N\quad x\!=\!0\quad y\!=\!0\,,\,\dfrac{dy}{dx}=0\,\cdots\,\)(14)
この常微分方程式を連立1階微分方程式に変換する。

\(y1=y\,,\quad y2=x^2\dfrac{dy}{dx}\,\)とおくと
\(\quad \dfrac{dy1}{dx}=\dfrac{y2}{x^2}\qquad\cdots\,\)(15)
\(\quad \dfrac{dy2}{dx}=-x^2y1^N\qquad\cdots\,\)(16)

初期値としては\(\,xi=x=0\,\)でなく、演算の刻み\(\,\xi=x=h\,\)とし、\(y1\,\)は式(7)を使い
\(\quad y1=1-\dfrac{1}{6}h^2+\dfrac{N}{120}h^4\quad\cdots\,\)(17)

\(y2\,\)は、\(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}=y2\quad\)としたので
\(\quad y2=h^2\left(-\dfrac{1}{3}h+\dfrac{N}{30}h^3\right)=-\dfrac{1}{3}h^3+\dfrac{N}{120}h^4\quad\cdots\,\)(18)
で設定する。
計算は中心\(\,\,\xi=x=h\,\,\)から始めて、密度係数がゼロ\(\,\,\,\theta=y1=0\,\,\)となる表面までを積分する。また\(\,\,h=1.0\times10^{-6}\,\,\)とした。

[3]数値計算による結果
\(N\,\)を\(0\sim 4.5\,\)まで計算した結果をグラフと表に示す。

この表は、\(N=n\,\)でガス球の表面(圧力ゼロ\(\,\theta=0\,\))の時の\(\,\xi_n\,\)とそこでの\(\,-1/\xi\,(d\theta/d\xi)\,\)で、中心密度\(\rho_c\,\)を計算するためのパラメータである。

Nの値 \(\xi_n\) \(\left(-\frac{1}{\xi}\frac{d\theta}{d\xi}\right)_{\xi=\xi_n}\)
\(0.0\) \(2.549\) \(3.291\times10^{-1}\)
\(0.5\) \(2.753\) \(1.816\times10^{-1}\)
\(1.0\) \(3.142\) \(1.013\times10^{-1}\)
\(1.5\) \(3.654\) \(5.564\times10^{-2}\)
\(2.0\) \(4.353\) \(2.923\times10^{-2}\)
\(2.5\) \(5.355\) \(1.424\times10^{-2}\)
\(3.0\) \(6.897\) \(6.152\times10^{-3}\)
\(3.5\) \(9.536\) \(2.180\times10^{-3}\)
\(4.0\) \(14.972\) \(5.356\times10^{-4}\)
\(4.5\) \(31.836\) \(5.386\times10^{-5}\)

\(\bigstar\,\)結果の見方
\(\xi\,\)は \(\,R=\alpha\xi=\left[\dfrac{(N+1)K}{4\pi G}\rho_c^{\frac{1}{N}-1}\right]^{1/2}\xi\,\cdots\)(21) である。

また中心から\(\,\xi\,\)より内側に含まれる質量\(\,m(\xi)\,\)は
\(\quad m(\xi)=\displaystyle\int_0^{\alpha\xi}4\pi\rho r^2dr\)
\(\qquad\quad =4\pi\alpha^3\rho_c\displaystyle\int_0^{\xi}\xi^2\theta^Nd\xi\)
\(\qquad\quad =-4\pi\alpha^3\rho_c\displaystyle\int_0^{\xi}\dfrac{d}{d\xi}\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)d\xi\)
\(\qquad\quad =-4\pi\alpha^3\rho_c\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\quad\cdots\,\)(22)
で与えられる。したがって星の全質量\(\,M\,\)は
\(\quad M=-4\pi\alpha^3\rho_c\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)_{\xi=\xi_n}\)
\(\qquad =-4\pi\left[\dfrac{(N+1)K}{4\pi G}\rho_c^{\frac{1}{N}-1}\right]^{3/2}\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)_{\xi=\xi_n}\,\cdots\,\)(23)
ここで星の平均密度\(\,\bar{\rho}\,\)を考える。
\(\quad\bar{\rho}=\dfrac{M}{4\pi R^3/3}=\dfrac{3M}{4\pi R^3}\)
\(\qquad =-\dfrac{3}{4\pi\alpha^3\xi_n^3}\cdot4\pi\alpha^3\rho_c\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)_{\xi=\xi_n}\)
\(\qquad =-\dfrac{3}{\xi_n}\rho_c\left(\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)_{\xi=\xi_n}\quad\cdots\,\)(24)

\(\bigstar\,\)太陽の場合
これらの関係を太陽の場合で計算してみる。太陽の半径\(\,R=6.960\times10^8\)m 、質量\(\,M=1.9884\times10^{30}\)kg と、恒星の場合に適応できるポリトロープ指数\(\,N=3\,\,(\Gamma=\frac{4}{3}\,)\,\)の計算結果を用いる。
\(\quad\rho_c=\dfrac{M}{4\pi R^3}\left(-\dfrac{1}{\xi}\dfrac{d\theta}{d/xi}\right)_{\xi=\xi_n}^{-1}\quad\cdots\,\)(25)

\(\qquad=\dfrac{1.9884\times10^{30}}{4\pi\cdot (6.960\times10^8)^3\cdot6.152\times10^{-3}}\)

\(\qquad =7.629\times10^4\,\mathrm{kg}\cdot\mathrm{m}^{-3}\)
理科年表によると\(\,\rho_c=1.56\times10^5\,\mathrm{kg}\cdot\mathrm{m}^{-3}\,\)*となっており、計算値は約半分である。まあ、天文のざっくりモデルでの計算としては、まあ合っているといえる。
*[参考]理科年表の太陽の構造の部分







レーン=エムデン方程式(2)


その1で導出したレーン=エムデン方程式は
\(\quad\dfrac{1}{\xi^2}\dfrac{d}{d\xi}\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)=-\theta^N\quad\cdots\,\)(1)
で、\(\,\theta\,\)は無次元化した密度、\(\,\xi\,\)は無次元化した半径である。中心での境界条件は、\(\xi\to 0\,\)のとき\(\,\theta=1\,,\,\dfrac{d\theta}{d\xi}=0\,\)である。

[1]\(N=0\,\)の時の解析解
式(1)を一般の\(\,N\,\)について解析解は得られないが、\(N=0\,,\,1\,,\,5\,\)の時は得ることが出来る。
なお、以降は見やすくするために\(\,\xi\,,\,\theta\,\)を\(\,x\,,\,y\,\)と記述する。式(1)は
\(\quad\dfrac{1}{x^2}\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)=-x^N\quad\cdots\,\)(2)
となる。ここに\(\,N=0\,\)を代入すると
\(\quad\dfrac{1}{x^2}\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)=-1\quad\cdots\,\)(3)
両辺に\(\,x^2\,\)をかけると
\(\quad\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)=-x^2\quad\cdots\,\)(4)

この式の両辺を\(\,x\,\)で積分すると
\(\quad x^2\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{1}{3}x^3+C_1\,\cdots\,\)(5)
となる。\(C_1\,\)は積分定数。両辺を\(\,x^2\,\)で割ると
\(\quad\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{1}{3}x+\dfrac{C_1}{x^2}\quad\cdots\,\)(6)

再度\(\,x\,\)で積分すると
\(\quad y=-\dfrac{1}{6}x^2-\dfrac{C_1}{x}+C_2\quad\cdots\,\)(7)
ここで、\(\,x=0\,\)のとき\(\,y=1\,\)の条件を満たすためには、\(C_1=0\,\)で\(\,C_2=1\,\)とする必要がある。よって、\(N=0\,\)の時は
\(\quad y=1-\dfrac{1}{6}x^2\quad\cdots\,\)(8)
となる。

[2]\(N=1\,\)の時の解析解
式(2)に\(\,N=1\,\)を代入すると
\(\quad\dfrac{1}{x^2}\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)+y=0\quad\cdots\,\)(9)
ここで、\(z=xy\,\)とすると
\(\quad\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{d}{dx}\left(\dfrac{z}{x}\right)=\dfrac{1}{x}\dfrac{dz}{dx}-\dfrac{z}{x^2}\quad\cdots\,\)(10)

式(10)の両辺に\(\,x^2\,\)をかけると
\(\quad x^2\dfrac{dy}{dx}=x\dfrac{dz}{dx}-z\quad\cdots\,\)(11)
となり、これを\(\,x\,\)で微分すると
\(\quad\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)=\dfrac{d}{dx}\left(x\dfrac{dz}{dx}-z\right)=x\dfrac{d^2z}{dx^2}\quad\cdots\,\)(12)
式(12)を式(9)に代入すると
\(\quad\dfrac{1}{x}\dfrac{d^2z}{dx^2}+y=\dfrac{d^2z}{dx^2}+z=0\quad\cdots\,\)(13)
という2階微分方程式になる。

この方程式の解は
\(\quad z=A\cos x+B\sin x\)
で、\(z=xy\,\)と変数を元に戻すと
\(\quad y=\dfrac{A\cos x}{x}+\dfrac{B\sin x}{x}\quad\cdots\,\)(14)

ここで、\(x\to 0\,\)の時、\(y\to 1\,\)なので、\(A=0\,,B=1\,\)となり
\(\quad y=\dfrac{\sin x}{x}\quad\cdots\,\)(15)
となる。

[3]\(N=5\,\)の時の解析解
式(2)に\(\,N=5\,\)を代入すると
\(\quad\dfrac{1}{x^2}\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)=-y^5\quad\cdots\,\)(16)

ここで、特殊な変数変換を行う。
\(\quad x=e^{-t}\quad\cdots\,\)(17)
\(\quad y=\sqrt{\dfrac{1}{2}e^t}\,Z\quad\cdots\,\)(18)
式(17)より
\(\quad\dfrac{dx}{dt}=-x\quad\cdots\,\)(17)

また、\(Z\,\)の\(\,x\,\)微分は
\(\quad\dfrac{dZ}{dx}=\dfrac{dZ}{dt}\dfrac{dt}{dx}=-\dfrac{1}{x}\dfrac{dZ}{dt}\quad\cdots\,\)(18)

微分演算子には以下の関係がある
\(\quad\dfrac{d}{dx}=-\dfrac{1}{x}\dfrac{d}{dt}\quad\cdots\,\)(19)

まず、式(18)を\(\,x\,\)で微分すると
\(\quad\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{1}{2\sqrt{2}}x^{-\frac{3}{2}}Z+\dfrac{1}{\sqrt{2}}x^{-\frac{1}{2}}\dfrac{dZ}{dx}\)
\(\qquad=-\dfrac{1}{2\sqrt{2}}x^{-\frac{3}{2}}Z-\dfrac{1}{\sqrt{2}}x^{-\frac{3}{2}}\dfrac{dZ}{dt}\quad\cdots\,\)(20)

式(20)の両辺に\(\,x^2\,\)をかけると
\(\quad x^2\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{1}{2\sqrt{2}}x^{\frac{1}{2}}Z-\dfrac{1}{\sqrt{2}}x^{\frac{1}{2}}\dfrac{dZ}{dt}\quad\cdots\,\)(21)

この式(21)を\(\,x\,\)で微分する
\(\quad\dfrac{d}{dx}\left(x^2\dfrac{dy}{dx}\right)=-\dfrac{1}{4\sqrt{2}}x^{-\frac{1}{2}}Z-\dfrac{1}{2\sqrt{2}}x^{\frac{1}{2}}\dfrac{dZ}{dt}\)
\(\qquad\qquad-\dfrac{1}{2\sqrt{2}}x^{-\frac{1}{2}}\dfrac{dZ}{dt}-\dfrac{1}{\sqrt{2}}x^{\frac{1}{2}}\dfrac{d}{dx}\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)\)
\(\qquad=-\dfrac{1}{4\sqrt{2}}x^{-\frac{1}{2}}Z+\dfrac{1}{\sqrt{2}}x^{-\frac{1}{2}}\dfrac{d^2Z}{dt^2}\quad\cdots\,\)(22)

ここで
\(\quad -x^2y^5=-x^2\dfrac{1}{4\sqrt{2}}x^{-\frac{5}{2}}Z^5=-\dfrac{1}{4\sqrt{2}}x^{-\frac{1}{2}}Z^5\quad\cdots\,\)(23)
なので式(22)(23)を(16)に代入すると
\(\quad-\dfrac{1}{4}Z+\dfrac{d^2Z}{dt}=-\dfrac{1}{4}Z^5\quad\)より
\(\quad\dfrac{d^2Z}{dt^2}=\dfrac{1}{4}Z(1-Z^4)\quad\cdots\,\)(24)
という形に書き直すことができる。式(24)の両辺に\(\dfrac{dZ}{dt}\,\)をかけると
\(\quad\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)\left(\dfrac{d^2Z}{dt^2}\right)=\dfrac{1}{4}Z\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)-\dfrac{1}{4}Z^5\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)\,\cdots\,\)(25)

ここで左辺は以下のように変形でき
\(\quad\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)\left(\dfrac{d^2Z}{dt^2}\right)=\dfrac{1}{2}\dfrac{d}{dt}\left[\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)^2\right]\quad\cdots\,\)(26)

右辺の計算も
\(\quad Z\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)=\dfrac{1}{2}\dfrac{d}{dt}\left(Z^2\right)\quad\cdots\,\)(27)
と変形できるので、式(25)は
\(\quad\dfrac{d}{dt}\left[\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)^2\right]=\dfrac{1}{4}\dfrac{d}{dt}\left(Z^2\right)-\dfrac{1}{12}\dfrac{d}{dt}\left(Z^6\right)\quad\cdots\,\)(28)

\(\,t\,\)で積分すると
\(\quad\left(\dfrac{dZ}{dt}\right)^2=\dfrac{Z^2}{4}-\dfrac{Z^6}{12}+D\quad\cdots\,\)(29)
となる。\(\,D\,\)は積分定数である。\(x\to 0\,\)のとき、\(Z=0\,dZ/dt=0\,\)なので、\(D=0\,\)である。よって次の式が得られる。

\(\quad\dfrac{dZ}{Z\sqrt{1-\frac{1}{3}Z^4}}=\pm\dfrac{1}{2}dt\quad\cdots\,\)(30)
左辺の正負の符号は境界条件より負を選択する。
\(\quad\dfrac{dZ}{Z\sqrt{1-\frac{1}{3}Z^4}}=-\dfrac{1}{2}dt\quad\cdots\,\)(31)

この方程式を解くために、さらなる変数変換を行う。
\(\quad\dfrac{1}{3}Z^4=\sin^2\phi\quad\cdots\,\)(32)
この式の微分形は以下のようになる。
\(\quad\dfrac{4}{3}Z^3\,dZ=2\sin\phi\,\cos\phi\,d\phi\quad\cdots\,\)(33)

式(32)(33)を(31)の左辺に代入すると
\(\quad\dfrac{dZ}{Z\sqrt{1-\frac{1}{3}Z^4}}=\dfrac{1}{Z\sqrt{1-\sin^2\phi}}\dfrac{3}{4Z^3}2\sin\phi\,\cos\phi\,d\phi\)
\(\qquad=\dfrac{3}{2}\dfrac{1}{Z^4}\dfrac{\sin\phi\,\cos\phi\,d\phi}{\sqrt{1-\sin^2\phi}}=\dfrac{1}{2\sin^2\phi}\dfrac{\sin\phi\,\cos\phi}{\cos\phi}d\phi\)
\(\qquad=\dfrac{1}{2}\dfrac{1}{\sin\phi}\,d\phi=\dfrac{1}{2}\mathrm{cosec}\,\phi\,d\phi\quad\cdots\,\)(34)
より(31)の方程式は以下の形に変形できる。

\(\quad\mathrm{cosec}\,\phi=-dt\quad\cdots\,\)(35)
両辺を積分すると
\(\quad\ln\left|\tan\dfrac{\phi}{2}\right|=-t+C’\quad\cdots\,\)(36)
より
\(\quad\tan\dfrac{\phi}{2}=Ce^{-t}\quad\cdots\,\)(37)

ここで、式(32)から
\(\quad Z^4=3\sin^2\phi=\dfrac{12\tan^2\frac{\phi}{2}}{\left(1+\tan^2\frac{\phi}{2}\right)^2}\quad\cdots\,\)(38)
この式(38)に式(37)を代入すると
\(\quad Z^4=\dfrac{12C^2e^{-2t}}{(1+C^2e^{-2t})^2}\)
\(\quad Z=\pm\left[\dfrac{12C^2e^{-2t}}{(1+C^2e^{-2t})^2}\right]^{\frac{1}{4}}\quad\cdots\,\)(39)

ここで、\(Z\,\)は式(18)より正で、式(17)(18)を代入すると
\(\quad y=\left[\dfrac{3C^2}{(1+C^2e^{-2t})^2}\right]^{\frac{1}{4}}=\left[\dfrac{3C^2}{(1+C^2x^2)^2}\right]^{\frac{1}{4}}\quad\cdots\,\)(40)

\(x=0\,\)で\(\,y=0\,\)という条件なので、
\(\quad 1=(3C^2)^{\frac{1}{4}}\quad\)より\(\quad C^2=\dfrac{1}{3}\quad\)が得られ
\(\quad y=\left[\dfrac{1}{(1+\frac{1}{3}x^2)^2}\right]^{\frac{1}{4}}=\dfrac{1}{\sqrt{1+\frac{1}{3}x^2}}\quad\cdots\,\)(41)
となる。







これまでの経緯

やってみたかった事

・高校では『天文研』に所属して、太陽の黒点の観測や夏の奥多摩での観測合宿などやってそれなりに、天文してました。完成はしませんでしたが、放課後交代で反射鏡を磨いていました。その後、大学と生業は『化学』という天文とは多少距離がある分野で長らく過ごしていました。
・やってみたかったと言うほどではないですが、いつかは...的な思いがあったのは、確かです。

放送大学で

・一応、定年(60歳)後を見据えて50代から、放送大学の専科履修生として勉強していました。定年後に放送大学の「自然と環境コース」に全科履修生として入学しました。(2013年度)
・それまで、専科履修生で取得した単位があったので、3年からの編入としました。昔の大学の単位を認定してくれる制度はあったようですが、面倒だと考えて語学も含めて全ての単位を放送大学で取得することにしました。その夏には卒業研究の申請を提出しています。
・それまで学習センターは試験や面接授業でしか利用していませんでしたが、いろいろなサークルなどがあり、先輩諸兄が指導してくれる環境がありがたかったです。卒論はどうせなら\(\,\mathrm{\TeX}\,\)を使いたいと思っていたところ、サークルにて\(\,\mathrm{\TeX}\,\)の講座を開催してくれたので、渡りに船と勉強させてもらいました。
・自然科学系の卒研に必要な科目と言ったら、まず数学です。一応、工学部だったのですが、昔取った杵柄が全く役に立ちませんでした。その数学を親切に教えてくださる先輩がいて、初歩から(再?)勉強させてもらっています。

天文での卒研

・卒業研究は天文を選択しました。報告書(卒論)はもちろん\(\,\mathrm{\TeX}\,\)で記述しました。放送大学のWAKABAの(資料)の「卒業研究資料_2014年度_06_自然と環境」に掲載されています。テーマはKeplar望遠鏡の観測データを使用した「連星の黒点挙動」です。

\(\,\mathrm{\TeX}\,\)について

・そんな感じで、備考録では\(\,\mathrm{\TeX}\,\)を使える環境をということで、ロリポップのレンタルサーバーの上で WordPress を使っています。
参考までに MathJaxの表示設定はこちらです。
<script type=”text/javascript” async=”” src=”https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/mathjax/2.7.1/MathJax.js?config=TeX-AMS_CHTML”></script>
この方式でなくともプラグインして[mathjax](括弧は半角)と文頭で宣言すればよいらしいですが...今のところ、うまく行かないので、文頭にスクリプトを書いています。

ポリトロープについて

・恒星は天文の勉強の基本です。ポリトロープは恒星の入門コースとなっています。これから導かれるレーン=エムデン方程式は、恒星物理学の基本です。約6年前勉強した内容を忘れないようにということで、ここに残します。
・振り子は最近までちゃんとした計算を知りませんでした。そんなんで、勉強した楕円積分とともに、備考録の最初に残しておきます。

レーン=エムデン方程式(1)

[1]Lane Emden 方程式とは

・宇宙物理学や流体力学において、レーン=エムデン方程式(Lane-Emden equation)は、球対称な密度分布を示す力学平衡にある自己重力流体を記述する微分方程式である。名称は宇宙物理学者のジョナサン・ホーマー・レーンとロバート・エムデンに由来する。
・Jonathan Homer Lane(1819-1880,ニューヨーク州のゲネシー生まれ)エール大学でオルムステッド(Denison Olmsted)に師事し、数学と自然科学を学ぶ。1857 年にワシントン市内に特許事務所を開き、特許関係の顧問や特許弁護士などの業務を始めた。1860 年に南北戦争が勃発すると、ペンシルバニア州北部の兄弟の住む村に移り、冷却用ガス膨張装置を用いた極低温装置の開発や天文学にも興味をもち、ひとりで文献に当たりながら太陽内部構造の研究に思いを深めていた。
・太陽の進化についてはジョン・ハーシェルやケルビン卿の収縮説に興味をもっていたが、内部構造を数学的に扱っていない点がレーンには不満であった。そこで彼は太陽をガス球と仮定し、重力平衡と熱力学過程を基本にして内部構造に関する基本方程式を書き始めた。
「太陽の理論的温度」(Lane,J.H.1870,Amer.J.Sci.&Arts,50,57-74) 自己重力のもとで球状に保たれるガス体の全体的平衡状態を取り扱った歴史的論文である。彼は太陽内部を完全気体と仮定したが、これは大胆な発想であった。完全気体を考えると\(\,p=R\rho T\)、静力学的平衡は\(\,dp=-\dfrac{Gm(r)}{r^2}\rho\,dr\,\)、内部は断熱的に対流平衡となるので、内部構造は\(\,1-\left(\dfrac{\rho}{\rho_c}\right)^{\gamma-1}=\displaystyle\int_0^x\dfrac{\mu(x)}{x^2}dx\,\)にて与えられる。

[2]アウグスト・リターのガス球論

・August Ritter(1826-1908)1853年にゲッチンゲン大学卒業。アーヘン工業大学(現RWTH-Aachen)の構造力学と一般力学の担当教授。「大気の高さに関する考察とガス状天体の内部構造について」ガス球の平衡・振動・安定性の問題に取り組み、自己重力にあるポリトロープガス球の平衡状態についての先駆的研究。
・ポリトロープとは圧力と密度に\(\,pV^n=K\,\) または\(\,p=K\rho^{1+1/n}\,\)の関係を満たす過程のこと。
\(\,T/T_c=y\,,\quad r/a=x\,\)とおいて、重力平衡式と組み合わせると以下の基本微分方程式が得られる。
\(\quad\dfrac{d^2y}{dx^2}+\dfrac{2}{x}\dfrac{dy}{dx}+y^n=0\,\quad\cdots\,\)(1)
この式は ポリトロープガス球の内部構造に関する基本方程式として、エムデンやエディントンに大きな影響を与えた。

[3]エムデンのガス球論

・ロベルト・エムデン(Jacob Robert Emden,1862-1940)スイスの天体物理学および気象学の専門家。1907 年にミュンヘン工科大学の教授。「ガス球論」出版。リターの基本方程式もそのままの形で再度導かれており、通常、エムデンの微分方程式と呼ばれている。リターらと異なり、エムデンはガス球半径を有限の場合と無限の場合を併行して考察している。エムデンの基本的考え方はレーンやリターと変わっていないが、理論が整備され、応用例が多いことからガス球理論の集大成と呼ばれ、4 版を重ねて、星の内部構造論の基本的テキストとなって広く知られるようになった。なお、エムデンの甥、マーチン・シュワルツシルドは 1958 に著書「星の構造と進化」を著わしているが、この書で歴史的なマイルストーンの研究者として、順にエムデン、エディントン、チャンドラセカールの 3 人の名前を挙げている。

[4]星の力学的安定

・連続の式:
 半径\(\,r\,\)、ガス密度は半径の関数とし、\(\,\rho(r)\,\) と表すと、その半径より内側に含まれる質量\(\,M_r\,\)は
\(\quad M_r=\displaystyle\int_0^r4\pi r’^2\rho(r)dr’\quad\cdots\,\)(2)
と書くことができる。
この式の両辺を\(\,r\,\)で微分して微分形式で書き表すと
\(\quad\dfrac{dM_r}{dr}=4\pi r^2\rho(r)\quad\cdots\,\)(3)
となる。この式は流体力学の連続の式(continuity equation)の一種である。

・静水圧平衡:
 星は自分自身の重力による収縮しようとする力とガス圧による対抗する力がバランスして、力学平衡を保っている。
\(\,r\,\)を中心からの距離、\(\,P\,\)をそこでの圧力、\(\,G\,\)を重力定数として
\(\quad\dfrac{dP}{dr}=-\dfrac{GM_r}{r^2}\rho\quad\cdots\,\)(4)
と表せる。
連続の式(3)、静水圧平衡の式(4)を解くことで、天体の内部構造を明らかにすることができる。 しかしこの段階では、独立変数が半径\(\,r\,\)で、従属変数は密度\(\,\rho\)、圧力\(\,P\)、質量\(\,M_r\,\)の3つで方程式は2つしかない。ためもうひとつ変数を結びつける式が必要となる。

・ポリトロープ関係
ここで、前出のポリトロープ関係と呼ばれる関係式を導入する。
\(\quad P=K\rho^{1+\frac{1}{N}}\quad\cdots\,\)(5)
\(\,K\,,\,\,N\,\)は定数のパラメータであり、\(\,N\,\)のことをポリトロープ指数と呼ぶ。

[5]レーン=エムデン方程式の導出

天体内部の構造を決めるためには、式(3)、(4)、(5)を解けば良いことになる。まず式(4)から
\(\quad\dfrac{r^2}{\rho}\dfrac{dP}{dr}=-GM_r\quad\cdots\,\)(6)
となり、両辺を\(\,r\,\)で微分すると
\(\quad\dfrac{d}{dr}\left(\dfrac{r^2}{\rho}\dfrac{dP}{dr}\right)=-G\dfrac{dM_r}{dr}\quad\cdots\,\)(7)
となる。これを式(3)に代入すると
\(\quad\dfrac{d}{dr}\left(\dfrac{r^2}{\rho}\dfrac{dP}{dr}\right)=-4\pi Gr^2\rho\quad\cdots\,\)(8)
となる。また、式(5)を\(\,r\,\)で微分すると
\(\quad\dfrac{dP}{dr}=K\left(1+\dfrac{1}{N}\right)\rho^{\frac{1}{N}}\dfrac{d\rho}{dr}\quad\cdots\,\)(9)
が得られる。式(9)を式(8)に代入すると
\(\quad K\left(1+\dfrac{1}{N}\right)\dfrac{d}{dr}\left(r^2\rho^{\frac{1}{N}-1}\dfrac{d\rho}{dr}\right)=-4\pi Gr^2\rho\quad\cdots\,\)(10)

ここで密度\(\,\rho(r)\,\)を星の中心密度\(\,\rho_c\,\)として
\(\quad\rho=\rho_c\theta^N\quad\cdots\,\)(11)
の形で表すこととする。\(\theta\,\)は無次元化した密度
両辺を\(\,r\,\)で微分すると
\(\quad\dfrac{d\rho}{dr}=\dfrac{d}{dr}\left(\rho_c\theta^N\right)=\rho_cN\theta^{N-1}\dfrac{d\theta}{dr}\quad\cdots\,\)(12)
また、式(11)から以下の関係が導かれる
\(\quad\rho^{\frac{1}{N}-1}=\rho_c^{\frac{1}{N}-1}\,\theta^{1-N}\quad\cdots\,\)(13)

式(10)に式(12)(13)を代入すると
\(\quad K\left(1+\dfrac{1}{N}\right)\dfrac{d}{dr}\left(r^2\rho_c^{\frac{1}{N}-1}\theta^{1-N}\rho_cN\theta^{N-1}\dfrac{d\theta}{dr}\right)\!=\!-4\pi Gr^2\rho_c\theta^N\quad\)
\(\quad\dfrac{K(N+1)\rho_c^{\frac{1}{N}-1}}{4\pi G}\dfrac{1}{r^2}\dfrac{d}{dr}\left(r^2\dfrac{d\theta}{dr}\right)=-\theta^N\quad\cdots\,\)(14)

また式(5)を星の中心にあてはめると
\(\quad P_c=K\rho_c^{1+\frac{1}{N}}\quad\cdots\,\)(15)
この式(15)を式(14)に代入して\(\,K\,\)を消去すると
\(\quad\dfrac{(N+1)P_c}{4\pi G\rho_c^2}\dfrac{1}{r^2}\dfrac{d}{dr}\left(r^2\dfrac{d\theta}{dr}\right)=-\theta^N\quad\cdots\,\)(16)

左辺の係数部分を以下のように定義すると
\(\quad\alpha\equiv\left[\dfrac{(N+1)K}{4\pi G}\rho_c^{\frac{1}{N}-1}\right]^{1/2}\quad\cdots\,\)(17)
\(\quad\dfrac{\alpha^2}{r^2}\dfrac{d}{dr}\left(r^2\dfrac{d\theta}{dr}\right)=-\theta^N\quad\quad\cdots\,\)(18)

ここで、半径を以下の形に無次元化する。
\(\quad\xi=\dfrac{r}{\alpha}\quad\cdots\,\)(19)
これより無次元化した密度\(\,\theta\,\)の\(\,r\,\)の微分は以下のようになる
\(\quad\dfrac{d\theta}{dr}=\dfrac{d\theta}{d\xi}\dfrac{d\xi}{dr}=\dfrac{1}{\alpha}\dfrac{d\theta}{d\xi}\quad\cdots\,\)(20)

微分演算子は以下の形になる
\(\quad\dfrac{d}{dr}=\dfrac{1}{\alpha}\dfrac{d}{d\xi}\quad\cdots\,\)(21)

式(18)にこれらを用いると
\(\quad\dfrac{1}{\xi^2}\dfrac{d}{d\xi}\left(\xi^2\dfrac{d\theta}{d\xi}\right)=-\theta^N\quad\cdots\,\)(22)
この式は無次元化した密度\(\,\theta\)、無次元化した半径\(\,\xi\,\)を結びつけるもので、
レーン=エムデン方程式と呼ばれている。







ポリトロープその2


天文においてポリトロープとは、圧力と密度がポリトロピック関係を満たし力学平衡にある球対称な流体である。
一般に、圧力\(\,P\,\)と密度\(\,\rho\,\)の間に
\(\quad P=K\rho^{1+\frac{1}{N}}\quad\cdots\,\) (1)
の関係があるとき、この関係式をポリトロピックと呼ぶ。ここで\(\,N\,\)はポリトロピック指数、\(\,K\,\)は比例定数である。
熱力学では \(\,1+\dfrac{1}{N}=\gamma\,\) であるが、天文では後述の Lane-Emden 方程式の解法のために、この形の表記を行う。
また、断熱圧縮率(\(\,\Gamma_1\,\))を以下のような形で表す。
\(\quad\Gamma_1\equiv\,\left(\dfrac{\partial\ln P}{\partial\ln\rho}\right)_S=\left(\dfrac{\partial\ln P}{\partial\ln\rho}\right)_T\gamma\quad\cdots\,\) (2)
理想気体の場合\(\, (\partial\ln P/\partial\ln\rho)_T=1\,\)となるので、
\(\quad\Gamma_1=\gamma\equiv\,\dfrac{C_P}{C_V}\quad\cdots\,\) (3)
ポリトロピック指数と星の種類
・\(N=0\,\):密度一定のガス
・\(N=0.5\sim 1\,\):中性子星
・\(N=\frac{3}{2}\,\):非相対論的ガス球 白色矮星、ガス惑星 RGの核
・\(N=3\sim3.5\,\):相対論的ガス 放射優勢の太陽などの恒星
・\(N=5\,\):半径が無限大の星
・\(N=\infty\,\):等温のガス球

[1]状態方程式
粒子がエネルギー\(\,\epsilon\,\)、化学ポテンシャル\(\,\mu\,\)に存在する確率は分布関数
\(\quad f(\epsilon)=\dfrac{1}{\exp[(\epsilon-\mu)/k_BT]\pm1}\quad\cdots\)(4)
符号\(\,\pm\,\)は+がフェルミ粒子、-がボース粒子に対応する。
高温あるいは低密度で粒子の存在期待値が小さい場合、量子力学の効果が無視出来て
\(\quad f(\epsilon)=e^{\mu/k_BT}\,e^{-\epsilon/k_BT}\,\)と近似出来る。
マックスウェル・ボルツマン分布が成り立つ条件は\(\,e^{\mu/k_BT}\ll1\,(\mu<0\,)\,\)であり、理想気体の状態方程式が数密度が以下を充たす場合である。\(A_m\,\)を粒子当たりの平均分子量とすると
\(\quad n=\dfrac{\rho}{A_mM_u}\ll\dfrac{g(2\pi mk_BT)^{3/2}}{h^3}\quad\cdots\,\)(5)

[2]光子ガス
光子はスピン1のボース粒子でボース-アインシュタイン統計に従う。エネルギーを\(\epsilon\)とすると、\(\epsilon=pc\,,\quad v=c\,\)で統計的重みは\(\,g=2\)、光子数は保存されないので\(\mu=0\)である。これより放射の圧力とエネルギー密度は
\(\quad U_r=3P_r=aT^4\quad\cdots\,\) (6) ステファンボルツマンの式
放射の圧力(\(P_r\))の寄与の比を \(\,1-\beta\equiv P_r/P\,\)と表し、気体の比熱比を\(\,\gamma\,\)とすると、断熱指数は
\(\quad\Gamma_1=\dfrac{4}{3}+\dfrac{\beta(4-3\beta)(3\gamma-4)}{3\beta+36(\gamma-1)(1-\beta)}\quad\cdots\,\)(7)
と表せる。ガス圧が優勢の\(\,\beta=1\,\)の時は\(\,\Gamma_1=\gamma\,\)で、
放射優勢の極限\(\,\beta\to 0\,\)で\(\,\Gamma_1=4/3\,\)となる。

[3]電子縮退気体
化学ポテンシャル\(\,\mu\,\)と熱エネルギー\(\,k_BT\,\)との比として縮退パラメーター\(\,\Phi\,\)を定義する
\(\quad\Phi=\mu/k_BT\quad\cdots\,\)(8)
(5)式より縮退による理想気体からのズレは\(\,\Phi\simeq 0\,\)で現れるが、低温・高密度で\(\,\Phi\to\infty\,\)の極限で分布関数が階段関数で近似できる場合を完全縮退という。このときの化学ポテンシャルの最大値をフェルミエネルギー\(\,\epsilon_F\,\)、運動量をフェルミ運動量\(\,p_F\,\)という。
ここでフェルミモーメント\(\,p_F/m_ec=x_F\,\)とおくと、電子の数密度、圧力、運動エネルギー密度はそれぞれ
\(\quad n_e=\dfrac{8\pi}{h^3}\displaystyle\int_0^{p_F}\!p^2dp=\dfrac{8\pi}{3}\left(\dfrac{mc}{h}\right)^3x_F^3=Bx_F^3\quad\cdots\,\)(9)
\(\quad P_e=\dfrac{8\pi c}{3h^3}\displaystyle\int_0^{p_F}\!\dfrac{p^4dp}{\sqrt{p^2+m_e^2c^2}}=8A\!\displaystyle\int_0^{x_F}\!\dfrac{x^4\,dx}{\sqrt{1+x^2}}\cdots\,\)(10)
\(\quad U_e=\dfrac{8\pi}{h^3}\displaystyle\int_0^{p_F}(\sqrt{p^2c^2+m_e^2c^4}-m_ec^2)p^2dp\)
\(\qquad=\dfrac{8\pi m_e^4c^5}{h^3}\displaystyle\int_0^{x_F}\!(\sqrt{1+x^2}-1)x^2dx=Ag(x_F)\quad\cdots\,\)(11)
ここで、\(\,A\,,B\,\)はそれぞれ
\(\quad A\equiv\dfrac{\pi m_e^4c^5}{3h^3}=6.002\times10^{22}\)dyn cm\(^{-2}\)
\(\quad B\equiv\dfrac{8\pi}{3}\left(\dfrac{mc}{h}\right)^3=9.739\times10^5\)g cm\(^{-3}\)
また
\(\quad f(x)=8\displaystyle\int_0^x\!\dfrac{y^4\,dy}{\sqrt{1+y^2}}=\!x(2x^2-3)\sqrt{1+x^2}+3\sinh^{-1}x\)
\(\quad g(x)=24\displaystyle\int_0^x(\sqrt{1+y^2}-1)y^2\,dy\)
\(\qquad=3\{2x(x^2+1)^{3/2}-x\sqrt{x^2+1}-\sinh^{-1}x\}-8x^3\)
\(\qquad=8x^3(\sqrt{1+x^2}-1)-f(x)\)
のように定義されます。
\(\quad U_e=Ag(x_F)\,,\quad P_e=Af(x_F)\quad\)また、
\(\quad P=(\gamma-1)U\quad\) なので、電子ガスにおいて
\(\quad \gamma=\dfrac{f(x_F)}{g(x_F)}+1\quad\cdots\,\)(12)
と表すことが出来る。

図のように、\(p_F/m_ec=x_F\ll 1\,\)では、\(\gamma\to 5/3\,\)となり、
相対論的極限の \(x_F\gg 1\,\)では、\(\gamma\to 4/3\,\)となる。







ポリトロープその1


ポリトロープとは、熱力学で使うときと天文で使うときで多少感じが違う。まずは、熱力から

● ポリトロープ変化

圧力\( P\)と比容積\( V\)が以下の関係で結ばれる変化をポリトロープ変化という(この変化は可逆変化)
\(\quad PV^n=C\quad n\): ポリトロープ指数
\(\qquad n=0\qquad P=C\quad\,\,\): 等圧変化
\(\qquad n=1\qquad PV=C\quad\): 等温変化
\(\qquad n=\gamma\qquad PV^{\gamma}=C\quad\): 断熱変化
\(\qquad n=\infty\quad\,\, V=C\qquad\): 等積変化

【1】気体の比熱

熱力学の第1法則は
\(\,U\,\)を内部エネルギー、\(\,Q\,\)を熱量、\(\,W\,\)を仕事とすると
\(\quad dU=d’W+d’Q\quad \cdots\)(1)
と表せる。ここで \( d’\,\)は準静的過程を表す。
\(\quad d’W=-PdV\quad \cdots\)(2)
\(\quad dU=-PdV+d’Q\quad \cdots\)(3)
体積が一定として、\(dT\,\)で割ると
\(\quad C_V=\dfrac{d’Q}{dT}=\left(\dfrac{\partial U}{\partial T}\right)_V\quad \cdots\)(4)
同様に、圧力が一定とすれば
\(\quad C_P=\left(\dfrac{\partial U}{\partial T}\right)_P+P\left(\dfrac{\partial V}{\partial T}\right)_P\quad \cdots\)(5)

また、(4)式を \(T\)で積分すると\(\,\,U=C_VT\quad \cdots\)(6)
1モルでは \(\,\,PV=\mathrm{R}T\quad \cdots\)(7)\(\,\,\)で
\(\quad P\left(\dfrac{\partial V}{\partial T}\right)_P=\mathrm{R}\quad \cdots\)(8) なので、(5)式は
\(\quad C_P=C_V+\mathrm{R}\quad \cdots \)(9)

【2】断熱変化

\(dU\,\)の微分を考える
\(\quad dU=\left(\dfrac{\partial U}{\partial T}\right)_VdT+\left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_TdV\quad \cdots\)(10)
これを(3)式に代入すると
\(\quad d’Q=\left(\dfrac{\partial U}{\partial T}\right)_VdT+\left[P+\left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_T\right]dV\quad \cdots\)(11)
\(P=\)一定として(11)式を\(dT\,\)で割ると
\(\quad C_P=C_V+\left[P+\left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_T\right]\left(\dfrac{\partial V}{\partial T}\right)_P\quad \cdots\)(12)
断熱変化では \(d’Q=0\,\)なので(11)式は
\(\quad \left(\dfrac{\partial U}{\partial T}\right)_VdT+\left[P+\left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_T\right]dV=0\quad \cdots\)(13)
理想気体では\(\,(U\,\)は温度だけの関数なので \(\left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_T=0\)
(13)式に(6)式と(7)式を代入すると
\(\quad C_VdT+\dfrac{\mathrm{R}T}{V}dV=0\quad \cdots\)(14)
比熱比を\(\,\gamma=\dfrac{C_P}{C_V}\quad \cdots\)(15)\(\quad\)として(14)式を\(C_VT\,\)で割ると
\(\quad \dfrac{dT}{T}+(\gamma-1)\dfrac{dV}{V}=0\quad \cdots\)(16)\(\quad\)なので
\(\quad \ln T+(\gamma-1)\ln V= \text{一定} \cdots\)(17)\(\quad\)よって
\(\quad TV^{\gamma-1}= \text{一定} \cdots\)(18)
式(7)より\(\quad T=\dfrac{PV}{\mathrm{R}}\quad\cdots\)(19)を代入すると
\(\quad PV^{\gamma}=\text{一定}\quad \cdots\)(20)「ポアソンの法則」が得られる。
常温での\(\,C_V\,\)は並進運動と回転運動の自由度の\(\frac{\mathrm{R}}{2}\,\)倍となる。
単原子分子では並進運動の自由度が3なので、\(\,C_V=\frac{3}{2}\mathrm{R}\)。
2原子分子では\(\theta\,,\,\phi\,\)の回転が加わり、自由度が5になるので、\(\,C_V=\frac{5}{2}\mathrm{R}\)となる。
3原子分子(直線形)では、並進の自由度と回転の自由度は、2原子分子と同様だが振動の自由度が4となる。この振動は常温での比熱に寄与しないので、\(\,C_V\,\)は同じとなる。
よって、単原子分子は \(\gamma=\frac{5}{3}\,\)となり、2原子分子と直線形の3原子分子は \(\,\gamma=\frac{7}{5}\,\)となる。